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からくりペーパークラフトなど [からくり]

書こうと思っていた内容を、急きょ変更して、「からくり」。

To Eat Or Not To Eat, That is a Question...

※ずいぶん長くなってしまいました。

からくり」とは、広義には、手動または水やぜんまい・ばねなどの動力を利用して、ギア・カム・クランクなどを組み合わせた、器物を動かすしかけ、のことを言います。近年は、学研から、『大人の科学』のラインナップに、からくりシリーズが加わっています。江戸時代の見せ物であった、茶運び人形・弓曳き人形・段返り人形の三種類が発売され、安価なキットで「からくり」を楽しむことができるようになりました。……でも、あまり売れていないのか、あちこちでディスカウントされがちですけど。

ボクが「からくり」に興味をもったのは、北海道・小樽でのこと。ぶらぶらと散歩していたら、『ロンドンからくり博物館』なるミュージアムショップを発見し、そこに展示された作品群に魅せられたのがはじまりでした。木と、一部金属製のしかけで、台座の上の人形や動物たちが、滑稽で風刺あふれる動きを披露するという、いかにもヨーロッパ風の機知に富んだからくりは、見ていて飽きることがないものでした。残念ながら、入場は無料なのに、ひとつひとつのからくりを動かすのに、コインを投入して、電動モーターのスイッチを入れなければならないという、面倒くさい運営になっていたので、ほんの数点しか動かさなかったことを覚えています。

これらの「からくり」は、西洋では「オートマタ」と呼ばれる、機械じかけの自動人形の系譜に含まれるものです。18世紀頃から、時計オルゴール職人が、精巧なしかけを人形に仕込み、鉄棒で曲芸をさせたり、楽器を演奏させたりといった、見せ物を作っていました。西洋でも東洋でも日本でも、器用な職人がその腕を競うのに、「からくり」を作っていたのです。

古典的な「からくり」「オートマタ」は、それなりに興味深いものでしたが、昔の見せ物のように、人形が踊ったり宙返りをしたり、という動きだけでは、現代の電動ロボットなどの動きに慣れてしまったわれわれには、新鮮な驚きを与え続けることができないでしょう。「どうやって動いているのだろう?」「なぜ人形がこんなに不思議なことができるのだろう?」という、素朴な感動だけでは、見せ物として成立せず、すぐに飽きられてしまいかねないのです。

小樽で見た「からくり」には、洒落っけがありました。「どのように動いているか」ではなくて、「なにを動かしているか」という、モチーフの選定に、ヨーロッパ風のウィットを加えたのです。しかけ部分は、台座を素通しにすることで、シャフトやギアやカムを公開してしまっているものがほとんどですから、それが電動や複雑怪奇なコンピューター制御ではなくて、非常に単純なしかけであることが、すぐにわかります。


ロンドンからくり博物館』の、展示物を見てください
人魚/A Brassy Mermaid
※キース・ニューステッド作『人魚/A Brassy Mermaid
ハンドルを回すと、海中を優雅に泳ぐ人魚。クランクやギアなどのしかけが露出していて、そのしかけ自体も作品のアート性に花を添えています。

カウンシル・カウンセラー/The Council Counsellor
※ポール・スープナー作『カウンシル・カウンセラー/The Council Counsellor
カウンセラーによる面接の模様を、皮肉った作品です。一生懸命に窮状を訴える依頼人に対して、つれない面接しかしない、天狗になったカウンセラー。……なんとなく、どこかで見たことがあるような風景じゃありませんか?

キックダンスの御婦人ふたり/The Kicking Ladies
※ピーター・マーキー&スー・ストルプ作『キックダンスの御婦人ふたり/The Kicking Ladies
ハンドルを回すと、ダンサーが足を振りあげて、同時に巨大な乳房がゆさゆさ揺れる。馬鹿馬鹿しいといえばそれまでですが、この作品の動きを見て笑い出さない人はいません。

※以上、3枚の画像は『ロンドンからくり博物館』から。


現代の「からくり」は、ただ「動くしかけ」にとどまらず、「モチーフを選び、さまざまに工夫して、大人の嗜好に耐えられるユーモアを加えて、おもしろおかしく作り出されたしかけ」、に変化してきたのだと思います。そこには、笑い風刺や(誉める意味での)くだらなさ、がなければならないでしょう。ハンドルを回すと、カブトムシやクワガタが角を振りあげる……、という「からくり」は、機構のしかけを学ぶ教材としては役に立つかもしれませんが、動きに驚きや発見や遊び心が不足しているのです。(カブトムシ云々、は例え話です)

『ロンドンからくり博物館』を出て、興奮気味のボクが、自分もからくりを作ってみたいと、アイデアを練ったのが、冒頭のイラストです。

To Eat Or Not To Eat, That is a Question...

ヤギの作家が、タイプライターで原稿を書いているのですが、書いた原稿をそのままむしゃむしゃと食べちゃって、ちっとも執筆が進まない……、という、創作の悩み(?)を、「からくり」で動かしてみようとしたものです。タイトルは、(当時つきあっていた)ボクの嫁さんが、『To Eat Or Not To Eat, That is a Question...』と付けてくれました。これは、イギリスの劇作家・シェイクスピアの名作『ハムレット』のもっとも有名な一節、「To Be Or Not To Be, That is a Question(生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ)」、をもじったものです。仕事に追われながらも、空腹に絶えかねて、「食べるべきか食べざるべきか、それが問題だ」などとうそぶきながら、せっかく書いた原稿の紙を食べちゃうヤギ。

ヤギの両手が、交互にカタカタとキーボードを打ちます。この動きは、カムで再現します。原稿の紙は、タイプライターから吐き出され、ヤギの口に飲みこまれます。台座の中で、紙は輪になっていて、下を通って、またタイプライターから吐き出されてきます。この動きは、紙にパンチ穴を開けておいて、ギアを組み合わせてやれば、なんとか再現できるかもしれません。ヤギの口も、小さくもぐもぐと動きますが、これもカムやクランクで動かすことができるでしょう。

当時のメモ帳を見ると、かなり真剣にこの「からくり」を作ろうと、製図した形跡が残っています。ヤギからタイプライターの方向へ、左右に走っている、動力を加える軸に、直行するように、タイプライターからヤギの口へ、紙の輪が流れなければならず、この動きを再現するために、どのように作ればよいか、相当悩んだ覚えがあります。素材も、紙を使うと強度が不足するので、薄いゴムシートやビニールを探しに行ったりもしました。

けっきょく、技術的にも時間的にも、このアイデアを形にすることはなく、現在に至っています。もう10年も前の話です。もしできあがったら、かなり面白い動きで、ボクが思うところの、「正しいからくり」になるはずなのですが、いまだにこれを作る自信はありません。原稿の紙が、ループせずに、ゆらゆらと揺れるだけで、擬似的に排出と咀嚼を演出することはできるのでしょうが、それだとちょっと楽しさが不足しているような気がします。


何年か経って、ボクは紙工作/ペーパークラフトを作りはじめました。初めてのボーナスで、初代iMacを手に入れたのは、紙工作がやりたかったから、という理由でしたから、スキャナとプリンタは必須でした。当時は自分の楽しみとして、紙工作を作っていただけですから、プロバイダと契約して、インターネットに接続する必要はありませんでした。やがて、『ロボットタイリク』を始めて、イベントに出展して、作品を展示しながら、型紙を販売すると、海外の方からURLを訊ねられました。しかし、ボクは自分のサイトを持っていなかったのです。

あわてて、無料のサーバーを借りてサイトを立ち上げ、あちこちにリンクを張って、いろいろと勉強しはじめました。既存の紙工作/ペーパークラフトサイトに、たくさんのファンメールを送って、宣伝しまくるという、ネチケ違反すれすれの行為に走り、今となっては恥ずかしいかぎりです。しかし、多くのみなさんから、あたたかい返信をいただくことができて、それがボクの自信にもつながりました。

当時、ファンメールを送ったひとりの作家さんが、『紙工房 Paper Engineer's Workshop』の、坂啓典[さか・けいすけ]さんでした。「からくりペーパークラフト」が代表作の、プロ作家さんですが、素人のボクのメールにも、ていねいに返信してくださいました。同じ「からくり」だから、という理由で、ボクは得意げに、ヤギの『To Eat Or Not To Eat, That is a Question...』のアイデアをあたためていることを開陳したのですが、坂さんからは、「それは(紙では)作れません」、という返事をもらいました。紙の強度・摩擦力・その他もろもろの条件により、紙による製作にむいていない、と、プロの目で見ればすぐにわかったそうです。

坂さんは、紙で作る「からくり」の、パイオニアのひとりです。ヨーロッパに住まわれていたこともあり、もともとの性格(?)もあり、その作風は、ウィットに富んでいます。ボクが、『ロンドンからくり博物館』に展示された作家たちの作品から、感じた滑稽さが、日本人の坂さんの作品からも感じとれます。『ためらう男』や『まないたの上』など、「からくり」が、ただ動くだけではなくて、そこに一工夫も二工夫もつけ加えられて、大人も子供も思わず笑ってしまうユーモアが、あふれているのです。

ボクが一番好きな作品が、『素顔の白鳥』。
素顔の白鳥
※画像は、『紙工房 Paper Engineer's Workshop』から。

これには、3つの意味で驚かされました。ひとつめは、言うまでもなく、作品のユーモア性。水面から見える白鳥は、優美で穏やかに見えるのに、水面下では必死に足をかいている、という視点で表現されているのですが、あらためて「からくり」で作り出されることで、よりいっそう、滑稽さが増しています。

ふたつめは、しかけの意外性。台座にしかけを組みこんで、上の人形が動く、という「からくり」がほとんどなのに、この作品は、台座の中の脚が「からくり」で動いて、上の白鳥の内部に、しかけが隠れています。まさに、逆転に次ぐ逆転の発想。実際に手にとって動かしてみるとわかるのですが、正面からハンドルを回しても、白鳥にはなんの変化もありません。いちいち裏側から見て、はじめてその動きを楽しむことができるのですから、おくゆかしい白鳥の演出は、最高潮に達しています。

みっつめは、購入して型紙を眺めていて気付いたのですが、コストの低さ、なのです。A4用紙3枚の型紙から作るキットなのですが、紙の色が、白・青・黄の3色で、印刷は、どれも黒1色です。これで、十分なんですね。もっと色がたくさんあったら、せっかくのシンプルな美しさが、台なしになってしまうんです。商品として流通させる時に、コストを低くおさえることができれば、それは嬉しいことだと思うのですが、ボクはいまだに、これ以上に低コストで、必要十分な効果をあげている製品を見たことがありません。すごい。


他にも、世界にはたくさんの「からくり」作家がいて、紙で「からくり」を作っている人も、たくさんいます。玉石混淆、というと語弊があるかもしれませんが、面白い「からくり」と、つまらないからくりが、同列に扱われているような気もします。もっとも目にする機会の多いとおもわれるシリーズは、やはり『フライングピッグ』でしょうか。イギリスのロブ・アイブスさんの作品群が、日本でも販売されています。『イライラ指/impatience』なんて、珠玉の「からくり」だよなあ。
イライラ指/impatience
※画像は、『フライングピッグ』から。


本稿、ずいぶん長くなってしまいましたので、2回に分けます。続きは次回(12/22)……。


【追記】
本稿を書くにあたって、あちこちの画像にリンクを張っています。ソースはそれぞれのサイト(サーバ)にあります。実は、あらためて思い返したら、坂さんの下の名前を間違えて覚えていました。『落ち着きのないオオハシ』から、強引に、鳳(オオトリ)啓助を思い出せばよかったのか。……ゴメンナサイ。


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